阿部 宣香
阿部 宣香

毎日のごはんで
お客様を笑顔にしたい

阿部 宣香

栄養科 / 管理栄養士

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阿部宣香

お客様の声が聞こえる職場で働きたくて

 管理栄養士の資格を持つ私は、前職では食品製造の工場に勤務し、主に食中毒対策など衛生管理の仕事を任されていました。しかし、自分が携わった食品を実際に口にするお客様との接点がないことに、いつしか物足りなさを感じるようになり、そして、同じ食に携わる仕事をするなら、お客様の声が聞ける環境で、ひとり一人と向き合いながら働きたいという気持ちが高まっていったのです。そんなとき『オー・ド・エクラ』で看護師として働いていた姉から、管理栄養士を募集していることを聞き、すぐに入職を希望させていただきました。
 特別養護老人ホームなどの施設では、給食部門を外部に委託する場合が多いのですが、ここの厨房は直営です。つまりお客様の近くで、すぐに感想や要望が聞け、またすぐに日々の献立に反映できます。それは私にとって、とても理想的な環境だったのです。

管理栄養士として働くこと

 管理栄養士としての私の仕事は、食事の献立を立てることと、食材の発注や管理です。また、医師の指示に従いお客様ひとり一人の食形態も管理します。そして、施設内をラウンドしてはお客様の食事の様子を伺い、食形態が本当にあっているのかを確認しています。施設で提供するのは、常食のほかきざみ食とミキサー食があります。しかし、今まで常食を食べていたお客様が、ある日を境に常食の嚥下が困難になったりすることがあるのです。
 なので、介護職員、調理師の皆さんとお客様の情報を共有しながら、すぐに対応できるように心がけています。もしかしたらその食事が、最期の食事になるお客様がいるかも知れない。だからこそ厨房と介護の現場とで密に連携できることは、直営の強みであり、やりがいのひとつであると感じています。

食事を楽しんでもらうために

 現在ここには、約130名のお客様がいらっしゃいます。なかには認知症の症状はなくても、嚥下能力が低下してしまった方もいるのです。だから、常食の方とやわらかい食形態の方が隣り合って食事をしても引け目を感じさせぬよう、料理の見た目だけでも近づけてあげたいと考えています。食事は栄養を摂るためだけのものでないから、食事自体を楽しんでいただけるよう取り組みはじめています。
 例えば、行事食のおやつを選択形式にするなどです。ただし、嚥下機能の低下により決められた形状のものしか食べられない方もいらっしゃるので、盛り付けなどで特別感を出すように心がけています。立場上、私はコストのことも考えないといけないのですが、「気にしないでどんどんチャレンジしてね!」と、肩を押してくれる上司がいるので、毎日より良い食環境を目指して仕事に専念できています。

職員全員でお客様に向き合っていきたい

 私が入職した当時は、他職種との連携が十分に取れているとは言えない状況でした。それでも、職員ひとり一人がお客様と向き合い、日々の業務に励んだ結果、現在はとても働きやすく連携が取りやすい環境が整いました。私もなるべくラウンドを行い、調理員さんから「阿部さんがきてから、お客様の声がたくさん聞こえるようになったわ」と、声をかけていただけるようになりました。これからも栄養科内のチームワークを一番に、他職種との連携をより強めていきたい。お互いに協力し合い、より良い食環境をお客様に提供できれば幸いです。
 食は日々の楽しみのひとつなので、その味や品質も、施設を選んでいただく上のひとつの基準となります。プレッシャーも大いにありますが、いつか「オー・ド・エクラの食事は本当に美味しいよ」なんて言ってもらえるように頑張ります。